「送球が安定しない、肩の力が弱い」
「球速をもっと上げたい」
「肩や肘のケガを防止・改善したい」
野球は「投げて」「打って」「捕って」「走る」スポーツであり、その中でも投げることで悩みを抱える方は多いのではないでしょうか?
ピッチャーであろうと、野手であろうと、優秀な選手になるために投げる力を鍛えることは欠かせません。
そこで今回は、投球や送球の悩みを改善する5つの野球用トレーニングボールの効果とおすすめの練習方法をご紹介いたします。
この記事がピッチャーをやっている方はもちろん、送球に悩む野手の皆さんの力になれば幸いです。
野球用トレーニングボールとは?
野球用トレーニングボールとは、実戦球とは重さや形が異なる、送球やバッティングの改善を目的として作られたボールのことを言います。
通常、野球の実戦球は
- 軟球(少年野球):大きさ 69±0.5mm、重さ 129±1.8g
- 硬球(プロ、高校生):大きさ 72.93mm~74.84mm、重さ 141.7g~148.8g
ですが、トレーニングボールは実戦球と同じ形で重さが300g以上のものがあったり、実戦球とは全然違う形をしているものなど、さまざまな種類があります。
そんなトレーニングボールを使用することで、投球や送球、バッティングに関するさまざまな課題を改善することができるのです。
今回はその中でも送球や投球に役立つトレーニングボールを紹介しています。
バッティングには「穴あきボール」というトレーニングボールをおすすめしています。
バッティングに悩んでいて、トレーニングボールを探している方はぜひこちらの記事をご覧ください。
野球用トレーニングボールの効果とメリット
トレーニングボールは「実戦球とは重さや形が異なるボール」とお伝えしましたが、野球用トレーニングボールを使用することでさまざまな効果やメリットがあります。
ここでは、野球用トレーニングボールの効果・メリットを5つご紹介します。
球速アップにつながる
まず1つ目の効果・メリットは「球速アップにつながる」です。
サンドボールやウェイトボールと呼ばれる、実戦球よりも重く作られているトレーニングボールで練習することで、腕の使い方や指先の感覚が改善され、球速アップが期待できます。
実際、メジャーリーグで活躍している大谷翔平選手や千賀滉大選手は160km/hを超えるストレートを投げますが、『プライオボール』と呼ばれる重さの違う数種類のトレーニングボールを練習に取り入れていると言います。
球速が出ないと悩んでいる方にはぜひ試していただきたいです。
キレイな回転の球が投げられるようになる
2つ目の効果・メリットは「キレイな回転の球が投げられるようになる」です。
トレーニングボールの中には、ボールに線や色が塗られている「チェックボール」と言われるボールがあり、チェックボールを使用すると、自分の投げたボールがどのような回転で相手に届くのかを確認することができます。
キレイな縦回転のストレートは、球に力を正しく加えることができているため、打たれても打球が遠くに飛びにくくなります。
筆者も中学生のときにこのチェックボールを使ってよく仲間とキャッチボールをしていましたが、自分はキレイな縦回転の球を投げているつもりでも、実際にはシュート回転をしていた、ということが多々ありました。
実戦球はボールの軌道が確かめにくいため、チェックボールなどのトレーニングボールを使って自分がどんな回転の球を投げているのか確認することはとてもおすすめです。
肩や肘の可動域が広がる
3つ目の効果・メリットは「肩や肘の可動域が広がる」です。
ボールを遠くに投げようと思うと、どうしても腕を思い切り振れば良いと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、それでは距離が伸びません。
最悪の場合、肘や肩の故障に繋がってしまう可能性もあります。
正しくボールを遠くに投げられるようになるためには、腕の力だけでなく、肩甲骨や胸周辺の動きを鍛えることが必要ですが、そんなときにトレーニングボールが役立ちます。
実戦球よりも重いトレーニングボールを使用すると、その重さから普段よりも肩甲骨や胸が動いていることを感じることができ、可動域を広げることにつながります。
正しく肩や肘の可動域を鍛え、強いボールを遠くに投げるためにトレーニングボールは有効的です。
コントロールが上がる
4つ目の効果・メリットは「コントロールが上がる」です。
これまでのメリットでお伝えしてきたように、実戦球よりも重いトレーニングボールを使用すると、体の使い方を改善することができます。
腕の使い方やリリースの仕方、フォームが改善されると、コントロールが安定するようになります。
筆者も高校2年からトレーニングボールを意識的に練習に取り入れるようになりましたが、使用以前と使用以降で明らかにコントロールが改善されました。
それまでは球が高めに浮くノーコンピッチャーだったので、低めに強いストレートが投げられるようになったときはとても嬉しかったことを覚えています。
コントロールに悩んでいる方はトレーニングボールの使用を自信を持っておすすめします。
ケガの防止になる
5つ目の効果・メリットは「ケガの防止になる」です。
一見、重いボールを使用しているため「ケガをしやすいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、使用方法を間違えてしまうとケガに繋がってしまうこともありますが、正しい使い方をすれば、野球肩や野球肘を治すことにも効果的です。
実際、プロ野球選手の中にもトレーニングボールをケガ防止目的で使用している選手はいて、40代になってもプロで活躍しているソフトバンクホークスの和田毅投手は、ケガの予防としてプライオボールを使用していると言われています。
選手としての能力がいくら高くても、ケガが続いてしまうと宝の持ち腐れになってしまいます。
ケガなく長くプレーするためにもトレーニングボールを取り入れてみるのはいかがでしょうか。
おすすめの野球用トレーニングボールと練習方法を紹介!
具体的にオススメの野球用トレーニングボールを紹介します。
購入を検討する際にぜひ参考にしてみてください。
おすすめの野球用トレーニングボール①プライオトレーニングボール
特徴
プライオボールはアメリカの『ドライブラインベースボール』と呼ばれる施設で開発されたボールです。
ポリ塩化ビニルやゴムなどの素材を使用していて、色ごとに重さに分かれていて、その重さは一番軽いもので100g(実戦球よりも軽い)、一番重いものでは2kgのものまであります。
これらのプライオボールを重さによって使い分けることで、さまざまなトレーニングができます。
練習方法
弓矢スロー
壁の正面に向かい合うようにして立ち、上体を使って投げる練習方法です。
弓矢を引くようなフォームになることから「弓矢スロー」と言われていますが、この投げ方をすることで、肩の開きや体の旋回を改善することができます。
ウォーキングスロー
歩く動作から投球をする練習方法です。
歩く動きからボールを投げることで、無理なく自然な体重移動ができるフォームを身につけることが目的です。
アップワードトス
肘を90度に曲げ、肩のラインと並行になるように上げて、手から離したボールを素早くキャッチするのを繰り返し行うトレーニングです。
肘や肩の可動域を広げるトレーニングで、プライオボールを投げる練習ではないため、室内でも手軽に練習することができます。
このほかにもプライオボールにはたくさんの練習方法があります。
ぜひ、いろいろ試してみて、自分に合う練習方法を見つけてみてください。
おすすめの野球用トレーニングボール②ウェイトボール
特徴
ウェイトボールは、鉛の入った実戦球と同じ素材のトレーニングボールのことを指します。
実戦球と同じ形で、縫い目も再現されたボールなので、プライオボールと比べても指先の感覚などを養いやすいことが特徴です。
軟式球に鉛を入れているもの、硬式球に鉛を入れているものと、それぞれ種類がありますので、購入する際は実際にプレーするボールで選ぶことをおすすめします。
練習方法
キャッチボールの導入に取り入れる
キャッチボールを始める際、実戦球を使用する前にウェイトボールを取り入れます。
実戦球よりも重いボールを使用することで、肩甲骨や肘の動きを意識しながら投げることができます。
大きく距離を取る必要はありません。ある程度肩が温まったら実戦球に持ち替えて、ウェイトボールを使っていたときの感覚を合わせるようにして投げましょう。
ボール遊びをする際に取り入れる
ウェイトボールはボール遊びにも使えます。
ボールの握りかえの練習はもちろん、手の甲を上に向けてウェイトボールを浅く持ち、指を離してキャッチ、また指を離してキャッチを繰り返すことで、指先の感覚を養うこともできます。
グラブにウェイトボールを叩くように投げることで、グラブの型付けもできるためおすすめです。
おすすめの野球用トレーニングボール③SSK 3WAYトレーニングボール
特徴
SSKの3WAYトレーニングボールは、ラグビーボールのような楕円形をしたトレーニングボールです。
「3WAY」と言われる通り、握り方・使い方を変えると3種類の練習ができます。
練習方法
回転をチェックする
3WAYボールの長辺に指がかかるように握り、相手に投げる練習方法です。
楕円形が横の状態を維持して投げられるのが正しい回転です。
ボールが大きく揺れないよう、中指と人差し指に均等に力を入れることがコツ。
キャッチボールを始める前や練習前のちょっとした時間に使用し、投球フォームを確認しましょう。
肩・肘の可動域を上げる
3WAYボールをアメリカンフットボールと同じ要領で投げる練習方法です。
ボールを横に掴んで頭の後ろから肘を出すようなイメージで投げます。
このとき、ボールがスクリューパスのような回転をしていると正しい肘の使い方ができている証拠です。
肘から投げることで可動域を広げ、柔らかい肘の出し方を覚えることができます。
動体視力・反射神経を鍛える
相手が転がした3WAYボールをキャッチする練習です。
3WAYボールは楕円形をしているため、転がすとイレギュラーバウンドになります。
この3WAYボールのバウンドに反応することで、反射神経や動体視力を磨くことができます。
守備力の向上はもちろん、バッティングでボールを見極められるようになるためにもおすすめの練習方法です。
おすすめの野球用トレーニングボール④キレダスノーマルV2
特徴
キレダスノーマルV2は、矢のような形をした、矢尻にボールがついているトレーニングボールです。
このキレダスを使用することで、正しい腕の振り方やリリースの仕方を身につけることができます。
実際に使用をした人の約95%が「使ったその日に効果を感じた」と言っているほど、即効性の高いアイテムです。
練習方法
キレダスはボールを前で離す・肘を上げるなどの感覚的な部分を習得できます。
キャッチボールと同じように相手に向かってキレダスを投げてみましょう。
きちんとリリースできる人はキレダスが相手にまっすぐ飛んでいきますが、リリースに難のある人は真下に落ちてしまったり、まっすぐ飛ばないようになっていて、視覚的にリリースの状態を確認できます。
キレダスを使ったあと実戦球に持ち替えて投げると、暴投になってしまうことがありますが、それはリリースの際に手首が立っていることの証拠になりますので、全く問題ありません。
暴投気味になってしまう人は、相手の膝や足元を狙うような意識でボールを投げるようにしましょう。
おすすめの野球用トレーニングボール⑤フィールドフォース回転チェックボール
特徴
回転チェックボールは、実戦球に線や色が塗られたトレーニングボールです。
実戦球と重さはほとんど変わらないため、普段の投球練習と同じ感覚で、ボールの回転をはっきりと確かめることができるのが特徴です。
練習方法
回転チェックボールは、キャッチボールでの使用がおすすめです。
回転方向を意識しながらキャッチボールや投球練習を繰り返しましょう。
投げた相手にどんな回転になっていたかを聞くことで、バッターにどう見えているかを確認することもできるため、ぜひコミュニケーションを取りながら使ってみてください。
野球用トレーニングボールを使用する際の注意点
ここまで野球用トレーニングボールの効果やメリット、おすすめの商品を紹介してきました。
ここでは、そんな野球用トレーニングボールを使用する上での注意点についてお伝えします。
正しく安全に使って、技術向上を目指しましょう。
安全をきちんと確認して使用する
1つ目の注意点は「安全をきちんと確認して使用すること」です。
これは実戦球を使用する際にも言えることなのですが、特に重量のあるトレーニングボールを使用する際は、実戦球よりも注意が必要になります。
使用する際は、相手がよそ見をしていないか、周りに人がいないかをきちんと確認し、安全を確保した上で使用するようにしましょう。
過度に使いすぎない
2つ目は「過度に使いすぎないこと」です。
トレーニングボールを使用して実際に効果が出るようになると、欲が出てトレーニングボールの使用時間が長くなってしまうかもしれませんが、正直それはあまりおすすめできません。
なぜなら、使いすぎはケガの恐れもあるだけでなく、試合で使うボールがあまりにも軽く感じてしまうなど、感覚のズレも生じるようになるからです。
最終的に試合で使うのは実戦球です。
過度なトレーニングボールの使用は避け、トレーニングボールを使ったあとは、必ず実戦球を使用して感覚を実戦球に合わせるようにしましょう。
まとめ
今回は、厳選した5つの野球用トレーニングボールの効果とおすすめの練習方法をご紹介しました。
気になるトレーニングボールは見つかりましたか?
筆者も小中高と通じて、投球や送球にはとても悩みました。
しかし、今回紹介したようなトレーニングボールを使ったことで、投球や送球が改善され、大事な場面で良い送球をできてアウトを取れたり、三振を取れるようなストレートが投げられるようになったりと「使ってよかった」と効果を実感する機会が多々ありました。
投球や送球で悩む選手はぜひ一度使って、効果を実感してみてください。
この記事が少しでも多くの選手の活躍につながることを祈っています。